2010年11月21日日曜日

小山市指定有形文化財, 朽ち果てる危機、日向野家住宅



小山市に現存する最古の住宅、東黒田にある日向野家住宅である。建築時期は18世紀前半、あるいは後半とも。
小山市に現存する最古の建造物として市指定の文化財だ。現在、一般公開はされていない。ある機会を得て、文化財としての住宅を守り続けるオーナー日向野様のご配慮で内外をつぶさに拝見できる機会を頂戴した。
北側、および、西側を厚い竹林に囲まれ、屋敷前庭の南面は黒板塀に仕切られる重厚なたたずまいである。敷地内には樹齢100年と200年を超える椿の老木が沢山の蕾を付けていた。さらに、欅(ケヤキ)、楠木、かやの木、もみじ、藤、枝垂れ桜、などいずれも歳を重ねた大樹が繁茂している。また、木瓜、山吹、エゴの木などもあり、四季折々に花をつける様は見事であろうと想像出来る。現在、ここに住む人は無く、オーナーやそのご家族が家屋の風通しをするため毎日通う程度で、残念ながら貴重な文化財にも関わらず朽ちるに任せるといった状態である。
屋内には、ついさっきまで人が生活していたと思わせる痕跡がそのままの形で残されている。
囲炉裏に掛けられた鉄瓶、土間に残された古い鍬、鋤、鎌などの農具、そして、母屋の中にはかつて大切にした働き手である馬を飼った場所などが江戸期から昭和初期までの古い形のままで残されている。一歩屋内に足を踏み入れたとき、そうした時代にタイム・スリップしたかのような感覚を覚えた。この貴重な文化財を長く後世に残すためには、直ぐにでも何か手を打たなければとの強い思いに駆られた。絵画や陶磁器などと違い建築物の有形文化財を個人が維持管理するには極めて厳しい時代環境である。一般公開をすることにより、文化財も初めてその価値が生まれる。何か手立ては無いものだろうかと強く思いつつ、日向野家住宅を後にした。

行政側も文化財に指定をして良しとしただけで、僅かばかりの維持費とは名ばかりの雀の涙ほどの金額を払うなら、いっそのこと文化財などと大層な格好をつけない方が、所有者のためにもなると思うのだが如何?

taken by Canon EOS 7D with EF-S 18-200mm 1:3.5-5.6 IS, 1/60 f/9.0 ISO200 Aperture-priority AE

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