賀状用の写真を撮りに小山市下生井地区の渡良瀬遊水地へ出かけた。遊水地の堰堤の上から冬の富士山が良く見える。気温こそ低いが、風もなく空気が澄みわたって雪をいただく霊峰が朝日の下で輝いていた。 写真の手前の葦原は渡良瀬遊水地で、今年7月、ラムサール条約に登録された。渡良瀬遊水地は東京ドーム700ケ分, 3,300ha の広さを有し、栃木県では栃木市、小山市、野木町、また、茨城県古河市、埼玉県加須市、群馬県板倉町などにまたがる。広大な湿地と葦原には多様な動植物が生息する。特に、野鳥の楽園で、今の季節シベリヤから渡ってきたコミミズクが野鳥観察愛好家やカメラマンの人気の的だ。小山市では、この自然豊かな地域にコウノトリ・トキを生息させようと、今年4月に「コウノトリ、トキの舞うふるさと、おやまをつくる会」を立ち上げた。
この渡良瀬遊水地にはもう一つ季節の風物詩がある。春を告げる3月の葦焼きだ。ところが一昨年3月11日の東日本大震災の際 東京電力福島第1原発のメルトダウンで放射能がこの地にも飛散した可能性があった。このため、葦焼きによって舞い上がる灰が放射能をさらに飛散させる恐れから、一昨年、昨年と2年続きで葦焼きは中止された。葦焼きの効果は病害虫を防ぎ、湿地・葦原に健全な植物を育むのである。2年間中止した結果、植相に変化が現れ弊害が出ているとのことだ。2013年の早春には葦焼き再開が望まれる。葦焼きこそこの地に春を知らせる風物詩だ。
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