a flowering meadow, originally uploaded by photoholic image.
我が街、小山市内にもこのように美しい場所がある。 ここは自宅から徒歩20分ほどのところ、お気に入りの散歩コースである。6月に入ると一面に黄色い花が咲き乱れとても美しい。
この広大な美しい場所はKDDIの所有する敷地である。一企業の私有地であるから関係者以外の立ち入りは本来出来ない。 当然だが、敷地周囲には「関係者以外の立ち入り、敷地内の通り抜けはお断りします」と書かれた標識が立てられている。 それにもかかわらず多くの人が散歩をしたり、飼い犬のドッグラン代わりに利用している。 その様子はまるで公共の公園でもあるかのようだ。 会社側も粋な計らいとして、散歩で立ち入ることをあえて規制してはいない。ありがたいことである。これも地域への企業貢献と感謝している。
この爽やかな、自然あふれる広大な敷地は短波無線の送信所の敷地の一部であった。短波の送信には巨大な架空アンテナの必要性や雑音を排除する目的から広大な土地が必要であったと考えられる。 1930年(昭和5年)、日本無線電信株式会社がこの地に短波専用の小山送信所を開設した。さらに、この会社は1938年(昭和13年)国際電話株式会社と合併、国際電気通信株式会社となり、国際通信サービスの発展に寄与することになる。 太平洋戦争終了後は一時、米軍に接収されるが、国際通信事業は1952年に現在のKDDIの前身である国際電信電話公社に引き継がれ、これに伴い、小山送信所も国際電信電話公社の所有となり、今日に至っている。 今や国際通信は衛星や光海底ケーブルで運用が行われて、無線通信の小山送信所としての役目はすでに終わっているが、昭和の初めから戦後まで、ここ小山が海外への情報発信基地であったという事に思いを馳せる市民はいないのではないだろうか。 この同じ敷地内にはKDD資料館があり、小山送信所時代からの古い通信機器が保管されている。 中には産業遺産としての価値ある装置も含まれていると聞く。